「売り上げがアメリカ北西部に集中していますね」
「そうですね。ここミネソタはカナダと接している。本社がここにあるので当然の結果と言えます」
「アメリカ南部への展開が甘過ぎるのでは?
新たなアピール戦略が必要です」
「現在、うちの商品を愛用しているセレブの方々が次々にうちの新作の写真をSNSに載せています。
98パーセントは高評価です。ここアメリカとカナダ、ヨーロッパでは世界的に有名な俳優を広告に起用しました。
CMの長さを極端まで短くし、
声を入れないことでコストを削減しつつ、わかりやすくかつ芸術的な映像を主要な動画サイトで流しています。
効果は絶大だ。それにこれから日本、中国、韓国、タイでの同時発売も控えています。
現在のアピール戦略で充分です」

私が作り笑顔を彼に向けても彼は涼しい顔だ。ほんっとうにムカつく。コイツは目の上のたんこぶだ。
「ずいぶんと弱腰ですね」

「最低の予算で最高の利益を得る。理にかなっていると思いますが?」
(あああああ、本当にムカつくー!!)

上役のひとりがこちらをにらんだので私はしぶしぶ口を閉じ、
彼は、
「では、次に、新作チークの売り上げについてですが、」
さっさと話を先に進めてしまった -