「はぁ?1800円!テーブルにはコーヒーカップしかなかったじゃん」
「どうやら食後のコーヒーだったみたいね」
ポケットからまた1枚1000円札をだした。
おつりを200円渡そうとすると、いいと言われた。
全くあいつは……と言いながら長い髪をかきあげるとキリッとした二重の目が見えた。
(かっこいいのにな、暑くないのかな髪の毛…)
と勝手にさくらは考えていると佐野くんのお腹がぐぅっーーーとなった。
「あー、腹減った〜、金なくなったし」とその場にしゃがんだ。
「それならやっぱりこれ」と200円を渡した。
「ごめん…かっこ悪いな」
「そんなことないよ、多くもらう方が申し訳ないよ、あっ、じゃあ1000円でいいよ」
「いや、それはダメだ、部活前のパンだな、サンキュ」と髪の毛をかきあげながら200円を受け取った。
(お金…ないんだ……)
「いつもの友達とはお昼ごはんとかは食べないの?」
「あー、あいつらとは一緒には食べないんだ、俺は金がないからみんなと同じもん食ってたら金がもたねぇ、昼休みは大抵部室にいる」
「部活が夕方からあるのに?」
「ん〜だから練習前にパン1個は食べる」
(さっきの200円がパン代か……)
さくらは右手で左手小指のピンキーリングをギュッと握った。
(話す勇気をください…誘っていいかな……)
「あの…今日はこれから午後の授業はあるの?」
「いや、部室で昼寝でもして時間を潰そうかと……」
「えっと、私も昼はまだ食べてなくて、昨日カレーを作って余ってるんだけどよかったら食べる?」
佐野くんの目が開いた。
「カレー!?大好物」
「じゃあ、うちに来る?近いんだけど…あっ、勘違いはしないでね、そういう誘いじゃないよ、お腹がすいてるならと思って…」
「ん、わかった……お腹すいてる」
「歩きだけど大丈夫?」と声をかけると
「全然平気、なんなら走れる(笑)」と返ってきた。
(誘っちゃった、緊張したけど……)



