買い物から1週間が過ぎ、後期の授業が始まった。


「あれ、さくら、可愛い指輪じゃん?」


「ありがとう、夏休みにバイトをしてね、バイト代で初めてアクセサリーを買ったの」


同じ学科で大抵の講義を一緒に取っている舞子(まいこ)は大学で出来た初めての友達だ。


舞子はいつも綺麗にお化粧もしていてオシャレが大好きなのだ。

いつかバイト代で化粧品を揃えて教えて欲しいと思っている。


舞子は可愛いタイプで私とは正反対だし、モテる。


いやいやさくらも美人だしモテるでしょと言ってくれるが私はもっぱら女子にモテていた。


バレンタインには女の子の後輩からのチョコを貰ったりしていたくらいだ。


背が高くてショートカットだったさくら

今は高3の部活を引退してから髪を伸ばしていて肩くらいのボブになっている。

男子は小さな可愛い子がいいんだろうなぁなんて勝手に思って今までお付き合いはしたことがない。


舞子は佐野くんのグループの女子に静かにして欲しいと私が注意をした後に舞子が話しかけてくれて、私も言いたかったと言ってくれて、そこから仲良くなった。


佐野くんの取り巻き女子の事があってからはなるべく離れて座るように早めに教室に入ることにしていたので佐野くんと話したのはカフェが初めてだったのだ。

そして今からが夏休み明けの佐野くんと同じ講義なのだ。

私は少し緊張していた。

お金を貸すという行為は今までなかった経験だし、返ってこなくても仕方ないと思う事にしていた。

だって佐野くんの性格を何も知らないのだから…

私が佐野くんのプレーを見て勝手に好きになったし、もちろん顔もタイプだったから憧れていただけで、私とは合わない性格かも知れない。

一緒につるんでいる女の子達を見ているとそういう感じがしなくはない。

講義が始まる前にはいつものように賑やかに教室に入ってきたのが女の子達の声でわかった。

さくらは佐野くんがいるのか確かめたかったが振り返るのはやめた。