「大丈夫?」

さくらは遥海に駆け寄った。


「いや、多分靭帯」

「え?」

「荷物持ってくるから待ってて」

さくらは頷いた。

先輩らしき人が体育館から出てきた。

「あれ?遥海は?」

「あっ、荷物を取りに行きました」

「遥海の彼女?」

「いえ、たまたま見に来ていて、友達です」

「来たら、1度中に入ってきてって伝えてくれる?」

「はい」


しばらくするとびっこをひきながら遥海くんがゆっくり歩いてきた。

中に入ってきてと先輩からと告げるとさくらは遥海くんの荷物を持って待った。


体育館から出てくると、とりあえず帰るかと遥海くんは私の家に向かってくれた。


「何か食べたいものある?」

遥海くんが聞いてくれた。

あっ、食事の約束……

「足痛いでしょ、作るよ」

さくらは笑顔で言った。

「痛くはないんだよ、力が入らないだけ」

明らかに声のテンションは低い……

「さくらとご飯に行きたかったのに、悪いな」

「大丈夫だよ、気持ちが嬉しい…その代わり病院代がいるからそっちに使って」

「そっか…ごめん」


さくらの家に着くとシャワーを浴びさせてもらった。


出てくると「え、ハンバーグじゃん」とすぐ嬉しそうな笑顔になった。

「たくさん作って冷凍しておくのよ、でも付け合せが今日はなくて……ポテサラでも下のコンビニで買ってこようかな」


「充分だよ米とハンバーグがあれば」

「そう?じゃあご飯はもうすぐ炊けるから私もシャワーしてくるね」



さくらが浴室から出てくるとソファで横になってボーッとテレビを見ている遥海くんの姿があった。


さくらに気づくと起き上がった。

「さくら、パソコンある?」

「寝室にあるよ」

「さくらと見ようと思ってた映像があるんだ、家にパソコンないから持ってきてた」

「テレビじゃダメなの?」

「プレイヤーある?」

遥海は鞄からディスクをだしてさくらに渡す。