その日の夜、ふっと目が覚めた。

スマホを開けると夜中の1時だ。

中途半端に目が覚めちゃったな、アイスが食べたいとスマホを握りしめて下のコンビニに向かった。


遥海くんは学校を休んでるからいないだろうと店に入ると「あれ?珍しいな」と佐野くんが品出しをしていた。


「な、何でいるの?」


「何でって前に言ったじゃん、深夜バイトしてるって」


「それは聞いたけど、熱があって休んでたんじゃ……」


「あー、よく知ってるね(笑)」


「と、友達の声がたまたま聞こえたのよ」


「そっか、俺に会いに来てくれたんじゃないのか」


残念そうに言う。


「何故か目が覚めちゃったの、アイスが食べたくて」


「あー、今日、暑いよな〜」


さくらは佐野くんの顔を見ると赤い…


「熱、まだあるでしょ?」


もう秋だし夜は涼しくなっている、さくらはアイスが大好きだから季節を問わず食べたくなるけど…

佐野くんが暑いって言うのはきっと熱があるからだ。

「え〜、どうかな(笑)」

アイスを取りレジに向かうと

「あの人、顔が赤いので熱があるみたいですよ」

「なっ、」


「えっ、佐野くん大丈夫?本当だ、顔赤いよね、店長に言うから帰りな」


「ほら」とさくらはブスっとしてコンビニを出た。


さくらは店から出る佐野くんを待っていた。

「ごめんなさい、勝手な事して」

「マジな、金もらえねぇじゃん」

少し不機嫌なのが態度でわかった。

確かに生活の為にバイトしてるもんね

でもほっとけなかった。

なんならバイト代分を渡してもいいとまで思った。

休んでもらいたい…

さくらは無意識に左小指を触っていた。

「来て」

佐野くんの腕を引っ張って自分の部屋に連れてきた。