私の心の支えは渚君

我ながら悪どい商売だと嫌になる
石田様は「覚えてろよ。絶対訴えてやる」と吐き捨てるように言って去っていった
俺にはもう良心とか羞恥心とか、世の中で善良とされている言葉はないのだろうか?
いくら営業成績を上げたいからって、罪もない老人を騙しているのだ
でも、そうしないと営業成績が上がらず、ダメな人間のレッテルを貼られる
俺が勤めていたMK不動産は、表向きはクリーンな真っさらな不動産業で通っていたが、裏では年寄りを土地活用と言って騙す、悪どい不動産屋だった
俺はそこで5年働いていた
最初は良心の呵責から、お年寄りを騙すことも躊躇われた
でも、その内にいけないとか、申し訳ないとか、罪とか、そんな気持ちも無くなり、俺は悪で手を染めて営業成績を上げるただのクズになっていた
そんな腐った毎日を送っていた矢先
恐ろしい事件が起きた