私の心の支えは渚君

「何でかな?陽和さん見てると何となくそう思うからかな?」
そう言った渚君は心なしか少し悲しそうに見える
どうしてだろう?
渚君は時々悲しそうに何かを抱えてる気がする
能天気で、みんなから天然と呼ばれている私は人の気持ちや変化に疎い
だけど、渚くんの悲しさは、よく通っている常連客だからか何となく感じ取ってしまう
私はそう思いながらも、自分から話したがらない渚君に立ち入った事が聞けなくて、渚くんの抱えているものに踏み込めないでいた

「はい。これサービス」
そう言って出されたのは美味しそうな紅茶のシフォンケーキだ
私お金払うよ。私はそう言ったけど、いつも来てくれるからお代は入りませんと言って結局美味しくご馳走になってしまった
いつもすみません。そう言って会釈し、またのご来店お待ちしています。と爽やかに渚君に見送られて私は店を後にした

本当に渚君は優しい
きっとあれは営業スマイルで、お客さんみんなに優しくて、だから私に特別な感情がある訳じゃない
それは重々分かっているけど、いつも向けられる笑顔とか、頭をポンポンしてくれる仕草とか、優しい言葉とか、ついついお客以上の感情があるのでは?と期待してしまって、いけないと思いながらも恋する気持ちにストップがかけれず悩むのだった