私の心の支えは渚君

男の人が帰った後、渚君は何となく雰囲気が変わって、何か重い荷物を下ろしたみたいだった

「さっきの男の人は、不動産営業の仕事をしてた時の人かな？」
ごめんなさい。聞こえてしまって。。私は一部始終を聞いてしまったことを何となく申し訳なさそうに謝った

「そう。あの人は俺が担当してたお客さんで、石田様って言うんだ。陽和さんには言ってなかったけど、俺昔は結構平気で悪どい事して営業成績を上げるような最低な奴で、さっきの人はそのお客さんだったんだ」
初めて聞いた
渚君の昔の話
いつも渚君自分の話は全然しないから
でも、悪どいことして営業成績を上げてたなんて、今の渚君からは考えられないな
「だから、俺は陽和さんが思ってるようないい奴じゃないんだ。今はこんな店を開いて人の為みたいに振る舞ってるけど、本当はこんな店で人の話を聞いて癒せるような人間じゃないんだ」
渚君は悲しそうに言った
まるで自分を殺して戒めているようだ
何か分かった気がする
いつも渚君が申し訳なさそうなのは、いつも罪滅ぼししてるからなんだね
私はどうしていつも渚君が人の話を聞いてあげるのか？このお店を開いたのか？何となく分かった気がした