私の心の支えは渚君

渚君は二人席に男の人を案内して、座ってもらうように促した
私はいつものカウンターの左から二番目の席に座っている
渚君とさっきの男の人はただならぬ雰囲気だ
私はいけないと思いながら気になってしまい、つい聞き耳を立ててしまった
渚君はこれはサービスですと言ってその男の人にアイスコーヒーを提供した

「あんたに一言謝りたくて。。」
その男の人は静かに口を開いた
「あの後よく確認したら、あの土地も俺の所有地に戻されてて、払った契約金も全額戻ってたんだ」
あんたが会社に掛け合ったんだろ？
その男の人はやっぱり申し訳なさそうに口を開いて、少し手が震えている
「謝るのは私の方です。石田様の大事な土地を私は騙し取ろうとしました。契約金の返却は、私のせめてもの罪滅ぼしです。今更謝っても私の罪は消えませんが、あの時は本当に申し訳ありませんでした」
渚君の手も震えていて泣きそうだ
詳しい事情は分からないけど、この二人にはきっと何かあって、それは渚君の人生を揺るがすような重要な事で、過去に何かあったであろう事が何とく予想できた