その対照的なふたりのやりとりに、リュミは肩を揺らして笑いをこらえる。
 笑い声は薪のはぜる音と混ざり合って、部屋の空気をやさしく揺らした。

(こういうの、いいな。うるさいけど、なんだか楽しい)

 床の上では、パッロがのんびりと伏せたまま、尻尾をゆったり左右に揺らしている。
 その静かなしぐさが、騒がしい室内にひとときの安らぎを添えていた。

 リュミはふと、フォルステアの家のことを思い出した。
 静かで、整っていて、きれいで、なにもかもが完璧だったけれど――あそこには、このざわめきがなかった。

 エルドの家には、火のぬくもりだけじゃなく、誰かがいる気配がある。
 安心感。ぬくもり。心がじんわりと満たされていく。

「群れとは、かくあるものだ」

「むれ?」

 ぽつりとつぶやかれたパッロの言葉に、リュミは首をかしげた。

「リュミにもわかる言葉だと……そうだな、家族か? 騒がしくとも、互いの気配が心を安らげる」

 どこか遠くを見つめるようなその声に、リュミはこくんと小さく頷いた。

「うん……ほんとに、家族みたいだね」

 その言葉を聞いた瞬間、リンコの赤い頬がさらに真っ赤に染まった。

「か、家族って! わたしはべつに……勝手についてきただけだし!」

「勝手に、な」

 エルドが皮肉っぽく笑えば、リンコは羽をばたつかせて抗議の声を上げる。