「よかった……生きてた……」

 リュミは胸に手を当てて、息を吐いた。その直後――。

「よかったじゃないでしょ!」

「ひゃっ……」

 見上げた先には、リンコの怒った顔。
 翼をバサバサと激しく動かし、目には心配の色が濃くにじんでいる。

「無茶するからこうなるのよ! 助けたい気持ちはわかるけど、あんたまだ子どもでしょ⁉ 自分まで捕まってどうすんの!」

「で、でも……リスさんが……」

 しょんぼりと俯いたリュミ。
 リンコは盛大なため息を吐き、ぷいっと顔を逸らす。

「……ったく。ついてきて正解だったわね。……べ、べつに心配してたわけじゃないんだから!」

「えっ……ついてきてたの?」

「~~っ! いいから気にしないの!」

 強気に言い返しながらも、目はちらちらとリュミの無事を確かめるように見ている。

「……ありがとう、リンコ。助けてくれて」

「か、勘違いしないで! あんたが勝手に危ないことするから助けただけなんだから!」

 その言葉の裏にあるやさしさが、じんわりと胸にしみる。
 けれど同時に、助けることしか考えられなかった自分への悔しさが、じんわりと広がっていた。

(助けたいって気持ちだけじゃ、まだ足りない。もっと……強くならなきゃ)

 気持ちだけでは足りない――そう気づいた瞬間、リュミの中に、新しい決意がゆっくりと芽を出した。