思わずといった様子で目を見開き、体を小さく震わせる。
 その反応があまりにも素直すぎて、リュミは思わず吹き出しそうになった。
 エルドはほんの少し眉をひそめるが、すぐにパンを取り直し、無言でリンコの皿にもう一切れ、パンを添える。
 あまりの反応に、リュミはつい吹き出しそうになった。

「うるさい」

 ぶっきらぼうな言い方だったが、その動きにはささやかなやさしさがにじんでいる。

「うるさいって言ったって、ほんとにおいしいんだから!」

 リンコは小さな翼で皿を必死に押さえながら、夢中で食べ進めていく。
 スープをくちばしで器用にすくいながら、「これはなによ⁉」「こんなの初めて!」と、いちいち感動の言葉を漏らしていた。
 くちばしの周りには、もうすでにスープのしずくとソースがちょんちょんとついている。

 リュミはその様子を見て、心の中がふんわりとあたたかくなるのを感じた。

(エルドさんのごはん、おいしいもんね)

 思わず、心の中で頷く。
 彼の作る料理は、どれもどこか素朴でやさしく、疲れたときほどしみる。

「リンコ、そんなに好きなの?」

 やさしく声をかけると、リンコはくちばしをもごもごさせながら、ぷいっと顔を背ける。

「そ、そんなことないわよっ! ……でも、まあ、ちょっとだけね」

 小さな声でそう言うと、羽をもぞもぞと動かす。
 照れ隠しなのは明らかで、その不器用な態度が彼女らしくて愛らしい。

 リュミの口元が自然とほころぶ。
 パッロはやれやれといった顔で、尻尾をゆっくり左右に揺らしている。