「面白い⁉︎」

 リンコの頬が、ボッと真っ赤に染まる。
 そのタイミングで、パッロがぼそっと口を挟んだ。

「……子どもをからかう大人にしか見えないな」

「からかってはいない。観察しているだけだ」

「どう見ても、からかっているだろ」

 呆れたようなパッロの視線を受け流しながらも、エルドはまったく悪びれた様子もなく、なおも無表情でリンコを凝視している。

「だ、誰がからかわれてるですって⁉︎ わたしは禍翼の凶鳥よ!」

 リンコは必死に翼を広げて叫ぶように言ったが、体はふわふわと揺れ、あまりの軽さにバランスを崩す。

「凶鳥が、そんなに暴れて落ちそうになっているのか」

 エルドが淡々と告げると、リンコはバッと口を閉じ、リュミの腕にしがみつく。

「……お、落ちるのはいや」

 その声は、さっきまでの勢いが嘘のように小さく、震えていた。
 恥ずかしさと不安が入り交じったようなその表情に、リュミはそっと彼女を抱き寄せ、やわらかい羽毛をやさしく撫でてやる。

「……大丈夫。エルドさん、意地悪してるんじゃないよ」

「ふん……どっちにしたって、こんなちっちゃい姿、わたしらしくないのよ」

 リンコは小さく羽を竦めて、少し震える声で続けた。