森を抜けた瞬間、淡く茜色に染まった空の下、視界いっぱいにエルドの家が飛び込んでくる。
苔むした屋根と、煙突からうっすら立ち上る煙。
家の窓からは、ランプのやわらかな光が漏れており、夕闇の中にほのかなぬくもりを漂わせている。
どこか懐かしいような光景に、リュミは思わず胸を撫で下ろした。
ここまで来れば、もう安心だ。
空気はすっかり冷え始め、背後の森からは夜鳥の鳴き声がちらほらと聞こえてくる。
不安と疲れが混ざった気持ちの中で、リュミはそっと息を吐く。
もう大丈夫――そう思いながら、リンコをしっかりと抱えたまま、戸口に足を踏み入れた。
「た、ただいま……っ!」
扉を開け放ち、少し息を切らしながら声をかける。
「おかえり。……ん?」
奥の机で分厚い本を広げていたエルドが、ぱたんとページを閉じて顔を上げた。
リュミの顔を確かめるように見たあと、すぐさま彼女の腕の中へと吸い寄せられる。
「……なんだ、それは」
低くうなるような声とともに、エルドの眉がぴくりと動いた。
リュミはおそるおそる、腕の中のリンコを少し持ち上げる。
「えっと、その……鳥の魔物が、ふわふわになっちゃって……」
「ふわふわに?」
エルドの眉がさらにひそめられる。
リンコはリュミの腕の中でバサッと羽を広げ、まるで威嚇するようにエルドを睨みつけた。
その姿はどこか必死で、自分を大きく見せようとしているようにも見える。
苔むした屋根と、煙突からうっすら立ち上る煙。
家の窓からは、ランプのやわらかな光が漏れており、夕闇の中にほのかなぬくもりを漂わせている。
どこか懐かしいような光景に、リュミは思わず胸を撫で下ろした。
ここまで来れば、もう安心だ。
空気はすっかり冷え始め、背後の森からは夜鳥の鳴き声がちらほらと聞こえてくる。
不安と疲れが混ざった気持ちの中で、リュミはそっと息を吐く。
もう大丈夫――そう思いながら、リンコをしっかりと抱えたまま、戸口に足を踏み入れた。
「た、ただいま……っ!」
扉を開け放ち、少し息を切らしながら声をかける。
「おかえり。……ん?」
奥の机で分厚い本を広げていたエルドが、ぱたんとページを閉じて顔を上げた。
リュミの顔を確かめるように見たあと、すぐさま彼女の腕の中へと吸い寄せられる。
「……なんだ、それは」
低くうなるような声とともに、エルドの眉がぴくりと動いた。
リュミはおそるおそる、腕の中のリンコを少し持ち上げる。
「えっと、その……鳥の魔物が、ふわふわになっちゃって……」
「ふわふわに?」
エルドの眉がさらにひそめられる。
リンコはリュミの腕の中でバサッと羽を広げ、まるで威嚇するようにエルドを睨みつけた。
その姿はどこか必死で、自分を大きく見せようとしているようにも見える。



