リュミはゆっくりと目を閉じ、深呼吸をする。
 森の香り、風の音、草の揺れ――すべてが穏やかで、やさしくて、心に染みる。
 この場所に自分の居場所があるのだと、自然に思えるようになっていた。

「《ふわふわ》は、魔物さんたちと仲良くなるためのスキルなのかも」

 きっとこれは、リュミだけに与えられた特別な力。
 家族に見捨てられ、友達もいない。ひとりぼっちだったリュミのために神様が差し出してくれた――やさしい贈り物。

 リュミの心に、小さな希望の光が灯る。
 それはまだかすかな明かりだけれど、決して消えることのない、強い光。

 そのぬくもりを、パッロもまた静かに感じ取り、そっと穏やかな笑みを浮かべていた。