失敗を指摘されて、リュミはしょんぼりと肩を竦める。
 けれど、続いた言葉に顔を上げた。

「……次は気をつけろ」

 たったそれだけの言葉。
 それでも、リュミには十分だった。

(失敗しても、次があるんだ……)

 エルドの視線が、ほんの少しだけ逸れた。
 そのささやかな変化に、リュミの心が軽くなる。

 カゴを手に持ったエルドは、なにも言わずに家の中へと戻っていった。
 その背中を見送るリュミの胸は、ぽかぽかと熱を帯びるのだった。