まだ信じられないように、リュミはカゴとパッロの顔を交互に見る。
「ああ、ほんとに」
即答だった。
迷いのない声が、まっすぐリュミの心に届いて、じんわりとあたたかく染みこんでいく。
(リュミにもできること、あった……!)
胸の奥に、少しずつ自信という名の灯がともる。
(リュミも、誰かの役に立てるんだ)
もう一度、カゴの中を覗き込む。
中には小さな白い花がひとつだけ。でも、それはリュミにとってかけがえのない一歩だった。
そのあとも、二人は並んで歩きながら薬草を探し続けた。
リュミが「あれかな?」と指差すたびに、パッロは丁寧に反応してくれた。「うん、合ってる」と頷いてくれるときもあれば、「それは違うな」とやさしく首を振るときもある。
間違っても怒られない。むしろ、どうして違うのかをゆっくりと教えてくれる。
「葉の形をよく見てごらん。同じ白い花でも、薬効があるのは葉が細いほうだ」
「うん。わかったよ、パッロ!」
何度も繰り返すうちに、リュミの目は少しずつ慣れていく。
最初は迷ってばかりだったのに、自分から見分けようと集中できるようになっていった。
「うまいな。もうコツを掴んだんじゃないか」
「……ほんとに?」
「本当だ。オレが保証する」



