リュミはパッロの背中に手を伸ばし、ふわふわの毛並みにそっと触れた。
 心地よさそうに、パッロは頭を寄せて尻尾を小さく揺らす。

 ふと視線を上げると、庭先の一角に、ふかふかと落ち葉が積もった場所があった。

「ねぇ、パッロ。あそこに行ってみよう?」

 しゃがんだリュミは、落ち葉を両手ですくって、パラパラと空に投げる。

「わぁ……きれい」

 ぱらぱらと落ち葉をこぼすたび、楽しい音が響き、自然と笑みがこぼれる。

「面白いな、リュミ」

「うん、こんなふうに遊ぶの、楽しい」

 パッロもリュミのそばに座り、鼻先で落ち葉をツンと押す。
 それだけの動作なのに、ふたりは通じ合っていた。

 やがてリュミは葉や小枝を使って、小さな街を作り始めた。
 赤い葉を屋根に、黄色い葉を道に、石を池に見立てて並べていく。

「パッロ、ここはリュミのおうちだよ」

「じゃあ、こっちは庭にしようか」

 ふたりの世界が、地面の上にそっと広がっていく。
 そしてその途中、リュミはぽつりとつぶやいた。

「ねえ、パッロ……ひみつの話をしてもいい?」

「もちろんだよ。リュミの話なら、なんでも聞く」