「お礼なら、虫たちにも言いなさいよね!」
ぱっと視線を上げると、リンコが枝の上にとまっていた。
羽を広げながら、ぴょんぴょん飛び跳ねている。
「蝶もリスも、みーんな総出だったんだから。わたしなんて、あのときの粉をまだ羽にかぶってるのよ!」
羽を広げると、日の光を受けて、それはそれは見事にキラキラと光った。
「リンコ、きらきらしてる……」
リュミが見上げて言うと、リンコは得意げに羽をひらひらと舞わせた。
「ふふん、そりゃそうでしょ。わたしの輝きは、森一番よ」
「うるさい」
そのとき、リュミのそばで寝そべっていたパッロが、片目を開けてぼそりとつぶやいた。
「おまえの声で、虫が逃げたぞ」
「なにそれっ! 救出の立役者に向かって、その言い草はないでしょ⁉」
ふたりのじゃれ合いに、リュミはつい、くすっと笑ってしまう。
その笑い声は、胸の奥に残っていた痛みを、そっと解いてくれるようだった。
笑える。
それだけで、どれだけ心が救われるのだろう。
そこにムスティが静かに近づき、リュミの膝に頭を乗せる。
思わずリュミは手を伸ばし、ムスティの毛を撫でた。
そのとき、ムスティが静かに近づいてきて、リュミの膝にぽすんと頭を乗せた。
驚きながらもリュミはそっと手を伸ばし、ふわふわの毛並みをやさしく撫でる。



