あれから、どれくらいの時間が過ぎただろう。
小さな手を握りしめながら、リュミは思い出そうとしたけれど、うまく思い出せなかった。
ただひとつ言えるのは、ずっとずっと……苦しかったということ。
リュミは何度も何度も説明したのに、神官たちは誰ひとり、リュミの言葉に耳を傾けてはくれなかった。
「祈れば、わかるはずです」
「女神が示してくださる」
そんな言葉ばかり。
やさしい声で言うくせに、心にはなにも届いてこない。
まるで高い壁に向かって話しているみたいだった。声は届かないし、出口も見えない。
(どうして、信じてくれないの? この子は魔物じゃないのに……)
祈れば、わかってくれるのだろうか。
でも、それは違うとリュミにはわかっていた。
神官たちが見たいのは、ただリュミがスキルを使って《ふわふわ》で魔獣を癒す姿だけ。
それを見せなければ、納得しない。
(そんなの、祈りじゃないよ……)
今いるのは、神殿の祭具庫。
整えられすぎたその空間は、まるで心を閉じ込めてしまう檻のようだった。
壁も床も棚も、どこもかしこも冷たくて、無機質。
なにもかもがきっちりしすぎていて、リュミは息が詰まる。
「祈りなさい。女神の御心に従うのです」
神官の声が冷たい空気を震わせる。
リュミは、そっと首を横に振った。
小さな手を握りしめながら、リュミは思い出そうとしたけれど、うまく思い出せなかった。
ただひとつ言えるのは、ずっとずっと……苦しかったということ。
リュミは何度も何度も説明したのに、神官たちは誰ひとり、リュミの言葉に耳を傾けてはくれなかった。
「祈れば、わかるはずです」
「女神が示してくださる」
そんな言葉ばかり。
やさしい声で言うくせに、心にはなにも届いてこない。
まるで高い壁に向かって話しているみたいだった。声は届かないし、出口も見えない。
(どうして、信じてくれないの? この子は魔物じゃないのに……)
祈れば、わかってくれるのだろうか。
でも、それは違うとリュミにはわかっていた。
神官たちが見たいのは、ただリュミがスキルを使って《ふわふわ》で魔獣を癒す姿だけ。
それを見せなければ、納得しない。
(そんなの、祈りじゃないよ……)
今いるのは、神殿の祭具庫。
整えられすぎたその空間は、まるで心を閉じ込めてしまう檻のようだった。
壁も床も棚も、どこもかしこも冷たくて、無機質。
なにもかもがきっちりしすぎていて、リュミは息が詰まる。
「祈りなさい。女神の御心に従うのです」
神官の声が冷たい空気を震わせる。
リュミは、そっと首を横に振った。



