風がやわらかく森を抜け、木々はすっかり春の装いに包まれていた。
若葉のにおいが辺りを満たし、こもれびが地面にキラキラとした模様を描いている。
庭先では、リュミが鼻歌を歌いながら薬草の仕分けをしていた。
カゴの中には、朝露をたっぷり含んだ新芽たち。リュミの指先は慣れた手つきで、丁寧に選り分けていく。
その髪に、光の粒がふわりと落ちた。
あたたかい春のにおいが風に乗り、くすぐるように頬を撫でていく。
すぐそばの草の上では、パッロが気持ちよさそうに寝転んでいた。
ふわふわの尻尾をゆったりと揺らしながら、彼は片目だけを開ける。
「今日はずいぶん調子がよさそうだな、リュミ」
「うん。森の空気がすっきりしてるからかな。吸い込むと、胸がふわっとするの」
「そうか……もう、瘴気のにおいはしないな」
パッロの低く落ち着いた声は、春の日差しのように穏やかだった。
その声に、上の枝にとまっていたリンコが、片羽をくちばしでつつきながら言う。
「リュミ、最近モテすぎじゃない?」
「えっ? モテ……?」
思わず聞き返すリュミに、リンコはくちばしで枝をつつきながら、ぴしゃりと言った。
「見なさいよ、足元!」
リュミが慌てて視線を下げると、そこには、ポコポコと小さな土の山がいくつもできていた。
じっと見つめていると、土の中から小さな鼻が、次々と地面を突き破って顔を出してくる。
現れたのは、モグラのような姿をした魔物たちだった。
鋭い爪に、トゲトゲと逆立つ毛並み。ひと目で、瘴気をその身に抱えているとわかる。
若葉のにおいが辺りを満たし、こもれびが地面にキラキラとした模様を描いている。
庭先では、リュミが鼻歌を歌いながら薬草の仕分けをしていた。
カゴの中には、朝露をたっぷり含んだ新芽たち。リュミの指先は慣れた手つきで、丁寧に選り分けていく。
その髪に、光の粒がふわりと落ちた。
あたたかい春のにおいが風に乗り、くすぐるように頬を撫でていく。
すぐそばの草の上では、パッロが気持ちよさそうに寝転んでいた。
ふわふわの尻尾をゆったりと揺らしながら、彼は片目だけを開ける。
「今日はずいぶん調子がよさそうだな、リュミ」
「うん。森の空気がすっきりしてるからかな。吸い込むと、胸がふわっとするの」
「そうか……もう、瘴気のにおいはしないな」
パッロの低く落ち着いた声は、春の日差しのように穏やかだった。
その声に、上の枝にとまっていたリンコが、片羽をくちばしでつつきながら言う。
「リュミ、最近モテすぎじゃない?」
「えっ? モテ……?」
思わず聞き返すリュミに、リンコはくちばしで枝をつつきながら、ぴしゃりと言った。
「見なさいよ、足元!」
リュミが慌てて視線を下げると、そこには、ポコポコと小さな土の山がいくつもできていた。
じっと見つめていると、土の中から小さな鼻が、次々と地面を突き破って顔を出してくる。
現れたのは、モグラのような姿をした魔物たちだった。
鋭い爪に、トゲトゲと逆立つ毛並み。ひと目で、瘴気をその身に抱えているとわかる。



