「ねぇ……ほかの魔物たちも、そうなの?」
「そうだ。おまえが出会った魔物たち……パッロも、リンコも、ムスティも……名もない魔物も……みな、世界の痛みを少しずつ引き受けている」
「……知らなかった」
リュミは、小さな拳をぎゅっと握りしめた。
今まで、魔物は怖いものだと思っていた。
でも、違った。みんな、やさしかった。そして、苦しかったんだ。
龍の目が、やさしく細められる。
「《ふわふわ》は、癒しの力に見えるだろう。だがそれは……フォレステアの血に宿る、女神の祝福だ」
「……女神の、祝福?」
「森の守り手たるおまえの一族は、森とともに在り、森と生きてきた。森が病めば癒やし、森が泣けばなだめる。その恩返しとして、森は癒しの力を授けてきた」
「恩返し……」
その声は、まるで遠い記憶をなぞるようだった。
静かで、穏やかで、あたたかい。
「だが、《ふわふわ》は、癒しの力などという、ただの慈悲に留まらぬ。それは……森を超え、命を超え、この世界の理すらも揺るがす、聖なる力。瘴気に穢されたものを浄め、本来あるべき姿へと導く……聖なるものへと還す、女神の祝福なのだ」
「リュミの《ふわふわ》に、そんな力が……?」
「そうだ。おまえの中には、女神の祝福が宿っている。まだ使い方を知らずとも、その力はたしかに……この森を照らしている」



