リュミの叫びも届かないまま、リンコの炎が瘴気を裂いた。
 その軌跡は美しく、でもあまりにも悲しい。
 爆発するような光の中、リンコの影が空から落ちていくのが見える。

「……リンコ!」

 リュミの喉から、声にならない声がこぼれる。
 パッロも、リンコも、リュミを守ろうとして、倒れていった。

 足が動かない。膝ががくがく震えて、息が苦しい。
 瘴気が、肺の奥まで入ってくる。

 (リュミの……せいだ)

 心の中に、誰かの声が響いた。

 ――おまえが《ふわふわ》なんて言ったから。

 ――ここまで来なければ、みんな……。

「……リュミが、悪いんだ」

 ぽつりと、リュミがつぶやいた。
 六歳の子どもが言うには、あまりにも重すぎる言葉。

 涙がぽろぽろと落ちる。
 でも、もう泣いてる場合じゃない。
 みんなが倒れて、それでも前に立てるのは自分だけ。

「だから……せきにん、取らなきゃ」

 小さな体が、ふらりと立ち上がる。
 裸足の足が、血に染まった地面を踏みしめる。