凄まじい爆風。
 全員が、吹き飛ばされる。

 リュミの小さな体も、容赦なく地面を転がった。
 目を開けたとき、土煙の中で見えたのは、よろめきながらも立ち上がろうとするパッロの姿。

「パッロ!」

 パッロの背中に渦巻く風が集まり、鋭い風刃が次々に生まれ、古龍へと飛んだ。
 鋭い音が響く――けれど、古龍はびくともしない。

「くそっ……!」

 パッロが歯を食いしばった次の瞬間、古龍の尾がしなり、雷のような音が響いた。
 その一撃が、パッロの体を遠くへ弾き飛ばす。

「パッロ――ッ!」

 必死に駆け寄る。
 土煙の中、倒れたパッロの体が横たわっている。
 その胸が、かすかに上下していた。

「……まだ……やれる……リュミを……まもれ……」

 掠れるような声でそれだけ言って、パッロは静かに目を閉じた。
 リュミの手が震える。叫びたいのに、声が出ない。目の奥が熱くなる。

 そして、空へと舞い上がるリンコの姿が目に入った。

「リュミ! パッロの分までわたしが燃やしてやるわ!」

「待って! リンコ、ダメ! それ以上は……!」