エルドが鋭く叫ぶ。
 パッロがすばやく前に出て、鋭い爪を構える。
 リンコは羽ばたき、空へと飛び上がり、翼の先に深紅の炎を灯す。

(……来る)

 狂った獣たちが、怒濤のような勢いで襲いかかってくる。
 地面が震え、空気がうなりを上げる。緊張の糸が、ぱんとはじけた。

 リュミは仲間たちの背に隠れながら、胸の奥で燃える悔しさと痛みを抱え、ぐっと唇を噛みしめた。
 でも――その目は逸らさない。

 小さな拳の中には、たしかに決意の灯がともっていた。