魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~


「……え……?」

 リュミは、その場で固まってしまった。

 やがて光はゆっくりと淡くなっていき、静かに、静かに、消えていった。
 あたたかかった光はやわらかい粒になって空気に溶けて、儚く消えていく。

 シカの呼吸はどんどん浅くなり――そして、止まった。

 濁った瞳が、空を見つめたまま動かなくなる。
 その命は、風に吹かれるように、静かに、音もなく消えていった。

「や……やだ……いやぁぁ……っ!」

 リュミは小さく叫んで、両手で顔を覆った。
 涙がこぼれるのを止められない。
 何度も、我慢しようとした。でも、駄目だった。
 泣きたくないのに、涙があふれてしまう。止まらない。

 エルドは、そんな小さな背中をしばらく無言で見つめていた。
 やがて、ゆっくりと膝をつき、リュミの肩にそっと手を置く。

「……やはり、そういうことか」

 その声には、確信があった。

「これはワシの見立てだが……おまえの力は、魔物にしか効かないのだろう」

 リュミの肩がびくりと震える。

「瘴気にあてられた獣は、見た目こそ魔物に近いが……中身はまったく違う。だから《ふわふわ》は通じないんだ」

「……やだ……どうして……リュミ、わかんないよぉ……!」