魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~


 そう言って、掴んでいた手を放すと、ほんの少しだけ顔を背ける。
 でも、その横顔にはまだ険しさが残っていた。

「リュミ」

「な、なに……?」

「おまえが誰かを助けたいと思う気持ちは、ワシも否定しない。……けどな」

「……」

「助けるためには、生きてなきゃならないんだ。無茶をして倒れたら、元も子もない」

 その言葉が、ずしんと胸に響く。
 助けたい気持ちばかりが先走って、自分のことを後回しにしていたことに、今さら気づかされる。

 俯いたリュミの頭に、大きな手がそっと置かれる。
 その手のひらは驚くほどやさしくて、じんわりとあたたかい。

 はっとして顔を上げると、エルドがやわらかく笑っていた。
 こんな顔、初めて見る。
 その笑みはまるで「大丈夫」と言ってくれているようで、胸の奥がじんわりと熱くなる。

「……もう無茶はするな。ワシがそばにいる。だから、ひとりで抱え込むな」

 その言葉に、込み上げてくるものを押さえきれなかった。
 目頭がじんと熱くなる。

「……うん」

 リュミは掠れた声で、でもしっかりと頷いた。

 *