「……リュミって、ほんっと鈍感」

「え? なにか言った?」

 リュミが首をかしげて見上げると、リンコは目を逸らしてなにも答えない。
 抱きかかえられたムスティだけが状況をすべて理解しているかのように、ちらりとリンコへ同情めいた視線を向けた。

 そんなやりとりを、少しうしろから見守っていたパッロとエルド。

「にぎやかになってきたな」

「まったく……手のかかる連中だ」

 パッロは微笑ましそうに目を細めながらつぶやき、エルドは肩を竦め、苦笑いを浮かべる。
 ふたりの視線の先では、まだ言い合いが続いている。

「リンコだって、すぐに仲よくなれるよ!」

「ならない! わたしはリュミだけで十分!」

「えっ、うれしい! リンコ、大好き!」

「……バカ!」

 パッロは堪えきれず、ふっと吹き出す。いいコンビだなぁ、と心の中で思いながら。