村へ戻る途中――その道のりを、リュミは小さなムスティを大切そうに抱えながら歩いていた。
 その様子は、まるでぬいぐるみを抱いているようで、どこか微笑ましい。

「……やっぱり連れてくの?」

 リュミの頭にとまっていたリンコが、不満そうにムスティをじとりと睨みつける。
 視線を感じたのか、ムスティの毛がぴくりと震えた気がする。

「だって……おともだちになったんだよ?」

 リュミの声はまっすぐで、そこに一片の迷いもない。

「おともだちって……まさか、毎回そんな調子で増やす気?」

「うんっ! そのほうが楽しいでしょ? リンコも一緒に仲よくなろ!」

「……はあ? なんでわたしまで」

「だって、おともだちはいっぱいのほうが、楽しいもん!」

 リュミはニコニコと笑いながらそう言った。
 その笑顔には不思議な説得力があって、リンコは思わずくちばしを突き出す。そして、ため息混じりにつぶやいた。