君の記憶と俺の記憶はたまに一致しない。君は自分が正しいと主張するタイプ。ま、いっか。
真実は確かめようがないし、その分思い出が増えて嬉しいよ。こうやって、どっちが正しい、って言いあうのも含めてね。

チューハイをプシッと開けた君に背中からぎゅうっと抱きつく。わ、髪からフローラルの香り。
「君ってけっこう甘えん坊だよね」
「君だって」
「君の方が甘えん坊」
君の白いほっぺに自分の頬を寄せて頬ずり。ふふ、大好きだ。
柔らかくてもちもちのほっぺ。ちゅっとキスをする。

君も、君の記憶も、俺の記憶も愛していく。これからも。
誓いをこめて君の唇にキスをした。ほんのりお酒を含んだブドウの味がして美味しいから、繰り返しキスを誘われる。

「君」とは、愛しいひとを尊敬をこめて呼ぶ言葉だ。
どの本に書いてあったんだっけ。今度は一致するかな。記憶のパズルのピース。(10年分の)

「やっぱり、君の方が甘えん坊だよ」
「何ー?」
もう1度君の頬にすりすり頬ずりしながら俺は君にささやく。

俺と会話したいんだよね。コミュニケーションしたいんだよね。
だから強いふりをするんでしょ。俺にかまってほしいから。(愛してる。君を)


2025.07.22
蒼井深可 Mika Aoi