契約結婚した白虎の姫巫女

 結羅は「えっ?」と驚いてしまう。
 その時だった。美香の口元がニヤリと笑う姿を目にする。結羅はハッとする。
 まんまとやられてしまったと思った。これは誘導尋問だ!
 結羅だとなかなか参加したいと言わないから、ターゲットを樹にしたのだろう。樹が参加となると、結羅も強制的に参加しないといけなくなる。
 逆に断わったとしても、樹を人質にされたら困るのは結羅だ。言うことを聞かないいけなくなる。それが手だろう。
 美香は結羅の方を見ると、ニコッと笑う。

「そういうことだから、白石さんも参加よろしくね」
「えっ……あの」

 結羅が言葉に出そうとすると、チャイムが鳴る。そうしたら、そのまま美香は行ってしまった。
 結局、断わることが出来ず、結羅は頭を抱える。
 樹は講義中に隣りに座ったが、ずっと謝ってくる。彼は呪詛の気配を感じることも出来ないので仕方がない。

「本当に悪かった」
「もう……いいわよ。悪気はなかったのだし」
「……結羅のことは俺が絶対守るから」

 過ぎてしまったことを悩んでしまっても仕方がない。チラッとテーブルの上で座っている虎太郎を見る。怪訝そうな顔をしていた。

『余計なことを……』

 虎太郎が呆れるのも無理はない。とにかく対策を考えないといけなくなってしまった。

 そして大学が終わると連れて来られたの駅前とかにある有名チェーン店ではなく、商店街裏にあるカラオケ店だった。そのせいか夜のお店関係の客が多いようだ。