契約結婚した白虎の姫巫女

 その後、ホテルの通報で警察と救急車が到着する。怪我人や招待客、野々華の両親は病院に運ばれて行った。
 野々華は死亡と確定。そのままシートで隠された状態で運ばれて行く。
 話を擦り合わせて、謎の宗教絡みの集団事件と処理された。そのまま言ったところで誰も信用してくれないだろう。
 伊織が処理してくれたお陰で、結羅達には被害は及ばなかったが。
 それでも結羅にとっては、もっとも悲しい事件となった。一生忘れることは出来ないだろう。

(結局、野々華ちゃんを助けてあげられなかった)

 ギュッとワンピースの裾を握り締める。結羅の心には罪悪感が生まれる。
 警察と話し合いが終わると、そのまま帰宅許可が出た。匠が車を回すために席を外す。伊織は黙ったまま。
 車が到着すると、伊織は乗り込もうとする。すると、茜は『ヒョーヒョー』という声に反応して慌てて振り返った。
 鵺の鳴き声だった。しかし声はするが、姿はない。

(今、鵺の鳴き声が聞こえたと思ったのだけど……気のせい?)

 きょろきょろと周りを見ながら、首を傾げた。まだ近くで様子を伺っているのだろうか?

「どうしたの? 茜。行くわよ?」
「う……うん」

 結羅が言うので、茜は急いで車に向かおうとする。その瞬間だった。
 茜の足元に黒い液体がまとわりついてくる。その液体は足を掴むと、そのまま地面に染み込んでいく。

「キャア!? な、何よ……これ??」

 それは茜の身体をも地面に吸い込むように沈んでいく。必死にもがくが、身動きが取れない。結羅は慌てて茜に駆け寄り手を伸ばそうとする。