√スターダストtoらぶ

バイトを1時間早く上がらせてもらい、20時前に愁真さんの家に到着した。

店長から聞いた時にはびっくりして腰を抜かしかけたんだけど、20階建て高層マンションの18階の角部屋に住んでいるらしい。

尚悟さんに色々聞くことも出来たのだけど、詮索するのも忍びなくて聞かずにいたから、わたしは彼のことを良く知らない。

てか、今気づいたんだけど、それこそ尚悟さんいるじゃん。

頼りにしてるみたいだし、尚悟さんにお願いすれば良かったんだ…。

ちらっと様子見して買ってきた非常食を置いたらさっさと帰ろう。

うん、それがいい。


「よし」


気合いを入れ、受付のお姉さんに話しかける。


「あの、すみません。わたし1801号室の夕影さんに御用があって参りました、高橋と申します」


わたしがそう言うと明らかに怪訝そうに顔を顰めた。

…もしや、

女の人いる?

無意識に探るような眼差しで見つめてしまったのか、


「だ、大丈夫ですよ。こちらに必要事項のご記入をお願いいたします。書き終わりましたら解錠いたしますので…」


なんて言われてしまった。

他の住人のより分厚いする気のする名簿に記帳し、わたしは中に入った。

一体何人連れ込んでるんだか…。

わたしもその一人にカウントされちゃった?

とんだ勘違いなんだけどな。

なんて考えているとあっという間に18階に着いた。

エレベーターなんて久しぶりに乗ったよ。

わたしは1801を目指して進んでいく。

ホテルみたいに高級感のあるマットが敷かれていて足音ひとつ聞こえない。

場違い感が半端なくて変な汗が全身から噴き出ているし、一刻も早く帰りたい。


「あった…」


遂に見つけてしまった…。

ここまで来たらもう引き返せない。

ふぅ…。

1つため息をついてインターホンを押した。

ピンポーンと至って普通の呑気な音に少し拍子抜けした。

だってオシャレなベルの音を想像していたから。


ーーガチャ。


落ち着くまもなく扉が開いた。

中から人が出てくる。


「…夢?」

「え?」


わたしを見るや否や彼は意味不明なことを言った。


「寝ぼけてるんですか?」

「あ、いやそうじゃなくて」

「これ店長からの差し入れです。次からは体調悪い時にはちゃんと事前に連絡してください。急に休まれると困りますし、迷惑がかかるのは他の従業員なので」

「はは。年下に説教されちゃった」


…ムカつく。

平気そうに笑ってるし。

こんな状況で夢だとかなんだとか訳の分からないことを言ったりヘラヘラしたり。

やっぱりこの人…クズだ。

このままだと中に引き込まれかねないし、早く帰ろう。


「ではわたしはこれで」

「店長によろしく。それと…ありがと」

「はい」