√スターダストtoらぶ

お給仕や物販のレジ、フードのヘルプなど毎日いろんなことをやらされ目まぐるしい日々を送り、完全に社畜騎士に変身してしまった俺は最終日を迎えた。

もはやこの仮面を脱ぐことに不安を覚えるまでになってしまったのだが、終わりは終わりだ。

俺はまた明日からしょうもない夕影愁真17歳に戻る。


「はぁ…」

「西園寺くん、これ22番テーブルに持っていって」

「あ、はい」


西園寺くんと呼ばれ迷う事なく返事出来るようにまでなったというのに。

この役と離れるのが名残惜しい、なんてさ、

自分の人生を生きてないってこと、なんだよな。

分かってしまったから、なおさら怖い。

その恐怖に怯えてもいられないから振り払うように俺は表に戻った。

トレーに乗せられた西園寺満月のコラボメニューの数々。

相当好きなんだろうなって分かる。

偶像を追って

理想を探って

それが楽しい…?

はは。

やっぱ、嫌だわ、俺。

今日でお終いで、いい。

どうせ、俺、じゃないんだから。

ここにいる誰もが俺なんて見ていない。

俺を……ない。

俺には向けられない。

分かってたのに、な。

一瞬幸福に浸ったからって調子に乗り過ぎた。

何を期待していたんだろう。

夢を見ていたんだろう。

西園寺満月に向けられたそれが自分のものになるわけじゃない。

奪うこともできない。

そう、分かっていたのに、な…。


なんて思いながら歩いていたら22番テーブルに到着した。

西園寺満月のイメージカラーの赤を基調としたドレスを着ている。

この日のためにコスプレ用ドレスを準備して髪もくるくるにして、色々準備してきたんだろう。

西園寺…

良かったな。

お前に向けられてるそれはホンモノだ。

俺みたいなニセモノには似合わない。

だから、返す。

これでお終いだ。

最後のお給仕、ちゃんとやり遂げますか。

俺は顔を上げた。


「姫、お待たせいたしました。こちら月光に映えるムーンライトラブパフェでございます」

「ひょっ!ほへっ!あ、ありがとうございます…!」


随分と緊張しているらしい姫の前にパフェやドリンクを置き、最後に手のひらを差し出す。


「これからも誠心誠意貴方をお護りいたします。どうか、この手をお取りください、姫」

「ふぁっ!は、はい…では」