√スターダストtoらぶ

やまりんとの約束を果たすべく1番最初にりんご飴を、そのあと焼きそばや大判焼き、ベビーカステラを買った。


「高橋さんそっちの方が重いですよね?僕飲み物持ちますよ」

「えっいいの?ありがとう」

「いえいえ」


ずっと辻堂くんは優しいし紳士だ。

買い物中も全部自分の懐から出していた。

後で割り勘するにしても男らしい。

あぁ、そういえば…思い出した。

いたんだよなぁ、とんでもない男が。

中2の春頃、中3の仲良かった先輩に◯◯くんがらぶちゃんと付き合いって煩くて…と泣きつかれ渋々付き合うことにした人がいたんだ。

どうしても自分のデートプランを披露したかったらしく、映画館から始まり、ゲーセン、カラオケ、アニメイト(唯一楽しかった)、カフェに行ったのだけれど、なぜか会計の時になると決まって顔を曇らせていた。

もしやケチなのかと疑いの目を向けながら仕方なくデートの最後まで付き合ったのだけれど、最後の最後でそれは確信に変わった。

それはカフェでパフェを食べ終え、そろそろ出たいオーラをびんびん波及させていた時のこと。

ヤツの様子が明らかにおかしい。

そう思ったわたしは嫌な予感を拭えないまま聞くしかなかった。


『あの、どうしたんですか?』

『あ、いやぁ…その…お金あんま持って来てなくて…』

『じゃあわたしが少し多めに出しますよ。だから今度返して…』

『えっいいの?!ありがとう!じゃあオレは3割負担で』


…え?

って思った。

そしたら何て返って来たと思いますか?


『医療費も3割負担じゃん。なんかいいよね、3割って』


さすがのわたしもカチーンと来た。

わたしは立ち上がった。


『どこかお怪我されてるんですか?してないですよね?あ、見た目で分からないってことは心の病ですか?もしや恋煩いですか?なら、自己責任なので全額負担でお願いします。では…』


わたしは頭に浮かんできた言葉を矢継ぎ早に放つと、ヤツに追いつかれぬよう猛ダッシュで店を飛び出した。

ヤツがわたしを追いかけようとしてイケメン店員に取り押さえられているのをわたしは窓越しに見た。

無銭飲食なんてなったら違法だからね。

まああんなクズ男、少年院に入って更生してもらっても良かったのだけれど。

これには後日談があって、なんとわたしが見たイケメン店員は弁護士を目指す大学生だったらしい。

わたしが次に絵那とその店を訪れた時には、『この前の彼には“二度と彼女に近づかない”という念書を書いてもらったから安心してね』なんてとびきりの笑顔で言っていた。

笑顔の裏には弱者を守ろうという正義感のある随分とやり手のお兄さんだったのだ。