君と目が合う5秒前


「昨日、教室でさ」

「そっか…残念だったね」

「でも、なんか目覚めたよ」

「目が覚めた?」

「恋愛なんてもういいかなーって」

「そんなこと言わないでよー」


でもそうなんだ。

きっと裏切られるんだ。

そう思ってしまった。


放課後、なんとなく1人で帰っていて、土手の原っぱで横になる。秋のそよ風が心地いい。


「横、いい?」


急になんとなく見覚えのある顔が来る。


「いいけど…」

「良かった…」


特に話したこともない、だけど何故か居心地は悪くない。

同じクラスの、詩くん。桃井詩くん。


「話すの、ほぼ初めてかも?急に隣とか来てごめん」

「いや、ううん」

「今がチャンスかなって。昨日、振られてたから」

「え?」

「僕、妃音ちゃんが好き」


急な告白に、逆に驚くこともなかった。

どこか他人事のような気がした。


「…私、誰とも付き合う気なくて」

「え、そうなの?」

「疲れちゃった。恋愛」

「好きにさせてみせる、ってのもダメ?」