君と目が合う5秒前


「妃音、別れよ」

「え?」

「妃音重いし、疲れる。なんか萎えたわ」


一瞬にして冷える、教室の空気。

朔くんの声が空気を切り裂いていった。


急な別れだった。


「分かった、帰る」


私は子どもみたいに不貞腐れて、鞄を持って帰る。


翌日、朔くん、もとい元カレは、他の女の肩に腕を回して、楽しそうに話していた。

前からそうだった。

私から告白してからそう。


3ヶ月前、朔くんに勇気を振り絞って告白した。

顔が良くて、性格だっていいと思ってた。

だけどその時は、私はいいところしか目に入ってなかったようだ。

女好きで、私という彼女がいながらも、平気で女子と2人で出かけたり、今みたいに女子にスキンシップしたり、していた。


私から別れを告げるべきだった。

朔くんからすれば、私は重い邪魔くさい存在だったんだろう。

もう恋愛は懲り懲りだ。

嫌い、嫌い。

嫌いだ何もかも。

そんな朔くんだって大好きだったのに…。


「なに泣きそうな顔してんの、妃音?」

「志穂…」

「ん?」

「朔くんに振られた…」

「え、嘘っ」


志穂は、口に手を当てて、可愛らしい仕草をする。生まれ持った可愛い顔で、とても画になる。