本当に小さいころに、まだ一人じゃ何もできないときに、一人でいろんなことができちゃう家族の姿を見て、

「みんなができるのに、自分にできないわけがない!」とでも言うように、

一生懸命頑張っている子がいるって話を、僕は聞いたんだ。

頑張ってもできるわけがないのに、それを知らないかわいそうな子だと思ったよ。

 ーその時の僕は、なーんも知らなかったんだ。仕方ないじゃないか。ー


3歳になる前の君に自我が芽生え始めたとき、僕は君に会いに行ったんだ。



「めんどくさいなー」

誰にも聞こえないと分かっているからこそ、何も気にせず声を出す。

面倒だと思っているのは本当だが、今日が初めてなのだ。

失敗もできない。

なぜなら、働き次第では出世も夢じゃないからだ。

出世すれば、もっと気楽に生きてけるだろうと、僕は考えている。

とにかく、働きたくない。

が、任されたからには、それなりに頑張ることにしよう。

(まあ、出世のために頑張るつもりではあったのだが。)

これから会いに行くのは、まだ3歳にもならない女の子。

上からの情報によると、最近自我がはっきりと生まれ始め、反抗的な態度が多いらしい。

このくらいの歳の子としてはあたり前だというが、人間というのはめんどくさいなと僕は思ってしまう。

そんなことを考えている内に、到着してしまった。

初仕事の割には厄介そうに思うが、養成学校を首席で卒業した僕だ。

きっと問題ないだろう。