「ありがとうございましたー!」
プール掃除と写真撮影を終え、私たちは荷物をまとめて部室を後にする。
「また夏休みね」
白衣に包まれた腕をひらひらと動かしながら先生が見送ってくれた。いつのまにか日はかたむき、オレンジ色の陽の光が校舎に差し込んでいた。
私はなんとなく、オレンジ色にライトアップされた校内を一眼レフで撮ってみた。
旧校舎を出て、すっかり静かになった校庭を横切りながら私たちは並んで歩いた。
陽射しに目を細めると、柚音がぽつりとつぶやいた。
「なんか、終わっちゃったって感じだね」
「でも、まだ始まってもいないよ。夏休み、これからだもん」
さみしげな柚音に私がフォローを入れると、「学生の本分は勉強だからな」 といつものぶっきらぼうな口調に戻った遥樹くんがツッコミを入れる。
その声に、みんながふふっと笑って、また歩き出す。
蝉の声が遠くで鳴いていて、空には入道雲が浮かんでいた。
靴を履き替えようと昇降口へ向かう途中、ふと振り返ると、プールの水面が夕陽を受けてきらめいていた。
まるで、今日の思い出をそっと包んでくれているみたいだった。
「なあ、次はどこ撮りに行く?」
遥樹くんがそう言った瞬間、また夏が動き出す。
「海でしょ、プールでしょ、あとは、夏祭りとか!」
柚音がセーラー服の赤いスカーフを揺らしながらはしゃいだ。
「花火もしたいよね。」
私たちは駐輪場にたどり着き、自転車をそこから取り出す。黒いアスファルトには私たち3人の影が長く伸びていた。



