Capture your memories of one summer ~ひと夏、思い出を切り取って~

                       
朝ごはんを食べ終わった私は、自分が朝ごはんで使った食器をざっと水で洗い流して食器洗いスポンジに洗剤を少し垂らした。

何度かギュッギュッと握って泡立たせ、カフェオレの入っていたタンブラーを洗う。

お母さんが朝ごはんで使ったタンブラーも洗って自分が使ったタンブラーに重ねる。

私とお母さんが使ったパンをのせていた皿もさっさと洗ってシンクの端に置いて、サラダが入っていた器も洗う。

サラダが入っていた器はドレッシングが残っているとべたべたしてしまうので、ほかの食器よりも入念にごしごしとスポンジをこすりつけた。

手の甲で水道のレバーを動かし、食器を手際よくすすいで水切りラックに立てかける。

ふと時計を見上げると、時計の針は8時55分を指していた。

まだまだ時間があるので、私はどすんとソファに腰かけてリモコンを手に取り、YouTubeを閉じて番組表を立ち上げた。

適当に出てきた旅行番組にカーソルを合わせて決定ボタンを押す。

『いよいよ夏本番!皆さんはどこかに行く予定はありますか?』

女性アナウンサーのテンションの高い声が私の耳を突き刺す。

『【今年の夏何をしたいか】の調査結果は物価高の影響もあり、遠出よりも家での体験が人気で…』

きゃんきゃんした女性アナウンサーの高い声は生理的に受け付けられなかったので、私はぶちっとテレビの電源を切って逃げるように自分の部屋に駆けあがった。