昨日渡ったあの歩道橋のスロープ部分に自転車を載せ、緩やかな階段をゆっくり上がる。
歩道橋の平坦な部分で息をつくと、私の瞳にはいつも見る景色よりもはるかに高い景色が映った。
車が行き交い、日傘を持った女性がゆったりと歩道を歩いていくのを眺めていると、「澄羽っち?」と私を呼ぶ柚音の声がした。
「ゆ、のん…」
この前無視されて先に帰られたから、柚音を呼ぶ私の声は少しかすれてしまった。
「コンビニ行く?」
手入れされた柚音の指先が昨日行ったコンビニを指さす。
「おやつ欲しかったから一緒に行こう」
私はつばを飲み込んで軽く咳払いをして、柚音と一緒に歩道橋を下ったところにあるコンビニに向かった。



