Capture your memories of one summer ~ひと夏、思い出を切り取って~

             
「生き返る…」

コンビニに入ると同時にファミリーマートのおなじみの入店メロディーが流れ、それと同時に冷房で冷やされた空気が私を迎え入れて包み込む。

冷房の効いたコンビニは、火照(ほて)った私の体には心地よかった。

のどがかわいたので、私はドリンクコーナーに向かって340mlのいろはすを手に取った。

ついでにアイスも食べたかったので、回れ右してアイスのショーケースの方に向かう。

その道中に置かれていた緑色のカゴを掴んでいろはすを入れると、突然誰かに肩をたたかれた。

「澄羽っち!」

振り返ると、シンプルな白のオーバーサイズのTシャツに黒いショートパンツ姿の柚音がグミを手に持って立っていた。

「え?あ、柚音!」

私は軽く手を上げて柚音の方に体を向けた。

「澄羽っちは何しに来たのー?」

「えっとね…やることなくてとりあえず外をプラプラしてたところ。暑すぎるから一旦ここに緊急避難させてもらってる」

写真を撮ろうとしていた、ということは伏せて柚音に説明する。

「あー、ね。あたしも何にもやることなくて…って言っても宿題あるけど、気分転換もかねていったんおやつ買いに来た」

どうやら柚音も同じような理由でコンビニに来ていたらしい。

「澄羽っちは何買うの?」

ショーケースに並んだアイスを見つめながら柚音がそういう。

「どうしよう…これかこれで迷ってる。」

ピノと雪見だいふくを指さしてそういうと、「どっちもおいしそうだよね~。」と柚音が身を乗り出した。

私と柚音の2人でアイスのショーケースを物色していると、ふと柚音が青いパッケージのガリガリ君を手に取った。

「久しぶりに食べたかったんだよねー」

軽い口調でそう言いながら柚音が手に取ったそれをを私のカゴに放り込む。

「ちょっとまって、まさか払わせようとしてない?」

わざと眉をぎゅっと寄せて柚音の方に顔を向けると、彼女は「そんなことないよ、ちゃんと払うし!」と両手をふった。

「ならいいけど。私はこっちにしよっと。」

私はショーケースに手を突っ込んで雪見だいふくを1つ取り出し、レジに向かった。