「めっちゃ暇ー…」

私がデスクの椅子の背もたれにもたれると、ぎっと背もたれが小さく悲鳴を上げた。

iPadをデスクの端にどかして勉強しようとスクールバッグから勉強道具一式を取り出して社会の総まとめワークを開く。

しかしカラフルな世界地図や隙間なく紙面に詰め込まれた黒い文字列に軽いめまいを覚えた私は、すぐに総まとめワークを閉じてしまった。

数学ならどうだ、と思ったが連立方程式の利用が出てきて、やる気を喪失した私はすぐにまた総まとめワークを閉じてしまった。

国語ならできるでしょ、とワークを開いたが、お堅い説明文が出てきてまたやる気を喪失した私は、さっきより早く総まとめワークを閉じてしまった。

理科もよくわからない化学反応式が出て来たり、英語も長文読解でまたまたやる気を喪失してしまい、5教科の総まとめワークは全滅だった。

いよいよやることがなくなってしまった。

私は仕方なくTシャツとロングスカートに着替えて、床に放置されていた黒いトートバッグに財布と家と自転車の鍵、携帯だけを入れる。

トートバッグを腕に下げて部屋を出ようとしたけど、写真を撮りたかったので部屋に引き返してカメラを首に下げて、階段を下りた。