「おかえりー。遅かったじゃない」
荷物を下ろしてリビングに向かうと、母親が食卓に麻婆豆腐を並べながらこちらに向いた。
「友達と遊んでたら遅くなっちゃったの」
「友達?碧依ちゃん?」
母親が麻婆豆腐を並べる手を止めて私をじっと見つめる。
「いや、部活のコンクールで写真に写ってくれる人と、顔合わせを兼ねてショッピングモールで遊んだの。」
私は冷蔵庫に向かい、麦茶の入ったピッチャーからコップに麦茶を注ぎながらぺらぺらと答えた。
「なるほどね。」
そう言って母親はダイニングテーブルに座ったので、私も座ってスプーンを持つ。
「「いただきまーす」」
私はスプーンで麻婆豆腐をすくって口に運び、箸で口の中にご飯を放り込む。
「お父さんは?」
「今日飲み会なんだって。」
母親としゃべりながらご飯を食べていると、手元のご飯と麻婆豆腐は綺麗さっぱりなくなっていた。



