「もう終わっていい?」
タッチペンを置いた柚音が私の方に向いて聞く。
「いいよ。」
特に書きたいものもなかったので私もタッチペンを置いた。
『分割数選択だよ!』
私は4分割を選び、プリクラに入れる写真を選んだ。
『印刷されるまでちょっと待ってね!』
私たちがプリクラの取り出し口のところでしゃがみ、プリクラが出てくるのを待っていると、上からかこんとプリクラが降ってきた。
切り取り線に合わせて折ると、ぱきんとプリクラが2つに分かれた。
私はカメラが書かれたプリクラをスマホの裏側に挟み、自分よりも少し後ろで待っていた柚音にテディベアがあしらわれたプリクラを渡した。
「ありがとー。あ、この細長いのどうする?」
柚音のプリクラについていた白地の細長いプリクラ。切り取り線に合わせて折っても2つに分かれなかったので、放置してしまっていた。
「私はいいかな。遥樹くんにあげる」
「おっけー。遥樹ー、愛しの澄羽っちからプレゼントー!」
プリクラコーナーに備え付けられているはさみで細長いプリクラを切りながら、柚音がプリクラコーナーの外で待っていた遥樹くんに大きく手を振った。
「愛しの…ってただのクラスメイトですけど」
プリクラを受け取った遥樹くんが無表情で柚音を見つめる。
「えー、遥樹ひどーい」
「ひどくもなんともないだろ。」
そっけなく返事すると、遥樹くんはプリクラをズボンのポケットに入れて私たちに背を向けてしまった。
怒らせたかも、と不安になっていると柚音が私の肩に手を置いて小さな声でひそひそと耳打ちする。
「態度はああだけど意外と優しいからあわあわしなくていいよ。」
「そんなふうには見えないけど…」
「接してみればわかるって!」
私は力強く言い放つ柚音にうなずいた。



