縄野柚音と鍬田部長が言い合ったあの後、部長はずっとピリピリムードを漂わせていた。
そのせいで4組にはずっと不穏な空気が漂っており、ろくに練習ができないような状態のまま今日の部活が終わった。
「これで部活を終わりまーす。起立、礼」
『ありがとうございましたー。』
わたしは部長と少しでも長く顔を合わせたくなかった。
だからわたしは挨拶とほぼ同時に部室を飛び出してチャリをかっ飛ばして、今までにないくらい早く帰ってきた。
荷物を部屋の真ん中に置いて、制服のままベッドにダイブ――したかったがスカートのプリーツが崩れるのが嫌なのでベッドにどすんと座った。
ベッドに座ったまま、澄羽のLINEを開く。
結局、縄野さんは澄羽の件も、課題曲のソロの件もどうするのだろう。
最後のトーク履歴には、わたしが送ったウサギのキャラクターが飛び跳ねているスタンプ。
飛び跳ねているウサギをじっとみつめ、結局わたしは何も送ることなく澄羽とのトーク画面を閉じてしまった。
「はあぁ……」
今までにないくらい深いため息が漏れる。



