6時間目の学活。担任が教卓に手をついてぺらぺらとしゃべっている。
「修学旅行で沖縄に行くのはみんな知っていると思う。1日目の平和学習は今の生活班で学習をしてもらう。」
生活班には誰がいるんだっけ、と思って周りを見回すと、瀬川遥樹と目が合ってしまった。
彼の真っ黒な瞳がひたりと私をうつす。
整った顔の人が怖い顔をすると、普通の人の怖い顔よりも何倍も怖く感じるのはなぜなんだろう。
「え、と。ごめんなさい」
何に謝っているのかすらわからないけど謝る。
彼は無反応でわたしをじっと見つめている。やばい、怒らせた?
「え…ごめんなさい。」
さっきよりも丁寧に謝ると、彼が失望したような表情でぷいと顔をそむけてしまった。
私は自分にも聞こえるか怪しいくらいの小さなため息をそっと机に落とした。



