無邪気な先輩(マフィア)は悪戯好きの後輩(マフィア)にからかわれてて困ってます

今日も空が青い。

嬉しいことだ。

のんびりと、私、明星青晴は、雲1つない空を眺めた。

「平和だな…」

こういう日は良いことがある!と、根拠のない自信に笑みを浮かべる。

こつん。

「う、わぁっ?」

「おはよ、せんぱい」

くす、と微笑む青年。

真珠星光。

星天学園高等部じゃあ知らない人はいない。

銀髪に白眼。

白眼と言うよりは、透明に近いだろうか。

今日の青い空を反射し、瞳が青く染まっている。

「光さあ、先輩だと思うなら敬語使おーよ」

「はいはい。…ってか、なんすか、じろじろ見て」

「そこは敬語かい」

私と光は正反対だ。

私は金髪に琥珀色の瞳。

金と銀は似て非なると思う。

くすくす、とわらわれるのは心外だが。

「せ・ん・ぱ・い」

「え?」

妙な間を開けて呼ばれた。

で、顔をあげたのが間違いだった。

鼻先に、光の顔。 

長いまつげが触れそうで、息がかかりそうで、思わず固まる。

その反応を楽しむように、にやりと光は笑った。

「っ、何、」

「ふふ、顔赤いですよー、っと」

そこまで言うと、光がすっと笑みを消した。

「蜻蛉組ですかね。若、走れます?」

「当然」

前に降りていた髪を後ろに払う。

光とならんで、人気のない道を走っていく。

「スピカ。尾行は」

私たちはマフィアだ。

マフィア《銀河》。

その社会の中ではかなり大きい方で、名は知れ渡っている。

「恐らく2人。どちらも男、まあ、体術はそこそこかと」

スピカ、もとい光が答える。

私はマフィアの若頭。

光は護衛だ。

「若。失礼します」

光はそう言うと、するりと私を抱えあげた。

「ひゃあ!?何!」

と、言うが早いか、道路にクナイが突き刺さっていく。

「若じゃ避けられないでしょ。大人しく掴まっててください」

「なっ!私だって!」

光がちらりと視線を走らせる。

「今から大通りです。事故らないように、ですよ。避けれます?」

「んぐ」

この通りは、朝かなり交通量が多い。

一般人を巻き込まないためにも、光に任せるのが手っ取り早いし、安全だろう。

「お願いします……」

「お願いされまーす」

光が言うが否や、歩道橋を駆け上がり、手すりに足をかけた。

そしてグッと体を沈める。

「えっ?ちょっと、まさか」

「若。その、まさかですうよ」

そしてそのまま空中に身を踊らせた。

「きゃあああああああああっっっ!!!」

私だけじゃない。

至るところから悲鳴が響く。

車の上を渡り、蜻蛉を撒いた。

「悲鳴は可愛いんですね?せんぱい」

お姫様だっこをされたまま、至近距離で光が笑う。

「忘れてっ!」

「嫌ですよーだ」

光はすっと私を下ろす。

「授業、遅れないでくださいね」

私の心臓は、うるさいぐらいに鳴っていた。

胸が締め付けられるような、痛み。

まさか、まさか。

「好きなの………?」