すき、という名前の花

画面に映し出されたのは――雪山だった。

風の音だけが、ヒュウヒュウと響いている。
真っ白な雪の世界に、色も音も、ほとんど存在しなかった。

やがてカメラがゆっくりと引いて、二つの影が現れる。

ひとつは、小さなウサギ。
もうひとつは、そのウサギを抱きしめる、少女の姿だった。

少女は震えていた。
細い体をかばうようにして、冷たい空気の中で、ウサギを守っていた。

なにかを言っていた。
でも、音はなかった。
口元だけが、ゆっくりと動いていた。

しばらくして、少女の腕の中でウサギの動きが止まる。

少女は目を伏せ、肩を震わせた。
その頬を、ぽろりと涙が伝う。

まるで真珠のような、きれいな涙だった。