ぼくと先生の夏休み

夏休みも終わり、あゆみ先生の新学期最初の授業の日、あゆみ先生ではなく担任のけんちゃん先生こと谷口謙介先生が浮かない顔してやってきた。

教室内はザワつく中、修平が、
「あゆみ先生は〜?」

下を向いていたけんちゃん先生がゆっくり顔をあげて口を開いた。

「あゆみ先生は亡くなった」

ザワつく教室で俺は"コイツ、何を言ってるんだ!"と怒りがわいてけんちゃん先生の方へ向かおうと立ちあがろうとすると、

「笑えない冗談言ってんじゃねーよ!」

修平が今にも殴りそうな勢いでけんちゃん先生に駆け寄った。

珍しく普段は感情を出さないけんちゃん先生は

「俺だって笑える話ししたいさ、けど笑えないんだよ!」

少し落ち着いて続ける、けんちゃん先生。

「夜中に、亡くなったって、、、」

教室中が静まりかえった。

俺はいてもたってもいられず教室を飛び出した。


俺は先生と一緒に行った海に向かって

「うおー、うおー!」

と叫び続けながら涙が止まらなかった。

どれぐらい海にいたか記憶がないぐらい時間が経って家に帰った。

帰ると、ソファーに座ってたじーちゃんが手紙を差し出した。

「あゆみからだ」

俺は手紙を受け取り部屋へ駆け込んだ。


〜あゆみ先生とじーちゃん〜

ある日のカフェで

「先生、私.長くないみたいです。」

「なんだ、急に」

あゆみはゆっくり話しはじめた。

「5年前にちょっと体調を崩して病院に行った時にいろいろと検査した時に病気が発覚して、定期的に病院も掛かっていてなんとやってたのですけど去年、進行が早くなってるって、、、、陸くんたちの門出も見れないかもと、、、」

「だから、担任しなかったのかー」

「はい。病気のことは校長先生には話してあったのですが、、、校長は続けて担任をしてほしいとおっしゃってくださったのですが、彼たちの大事なときに最後まで担任職を全うできない私も嫌だし、彼たちに私のことで迷惑かけれないので」

「まだ、わからんだろ。長くないって言っても1年先か2年先か、ちゃんと治療すると長くないが長いになるだろ、俺より先に逝くのは許さんぞ!」

あゆみは少し笑みを浮かべて、

「昔の先生との約束は守れないですね」

「何言ってるんだ!」

風見先生は少し怒り気味であゆみに言った。

「先生、ごめんなさい。それで、先生にお願いがあって」

あゆみは風見先生に手紙を差し出した。

「これ、私が死んだら陸くんに渡してください」

「死んだらって、お前はまだ死なないからオレが墓場まで持ってくとこになるな」

「先生、、、」


俺は部屋で携帯の中に入っている先生の写真を見ていた。
そして、じーちゃんから受け取った手紙を開けた。


〜先生からの手紙〜

陸くん、この手紙を読んでると言うことは私はいなくなってるってことだね。
ごめんね、突然のことで。けど、私にとっては来るときがきたかなって感じです。

陸くんは自分のことより私のためにクラスのためにたくさん盛り上げてくれて嬉しかったよ!私の最後の担任したクラスに陸くんがいてほんとよかったって思ってます。

陸くんの優しさや頼もしさに私は何度も救われました。ありがとう。

陸くんが"好き"と言ってくれたこと。ほんと嬉しかったよ。先生を続けていてよかったって思うし生きててよかったって。

これからは陸くんの人生、陸くんのために生きてください。ほんとうに"好き"と思える人に出会って幸せになってください。これは、私との約束。

陸くんに出会えてよかった。

私も陸くんが"好き"だったよ!

                結城あゆみ

手紙と一緒に先生が描いた四つ葉のクローバーが入っていた。


そして俺は先生の文字、先生の言葉、四つ葉のクローバーを見て決意が出来た。